再生の街をスナップ〜復興に励む北九州市小倉の旦過市場〜
実は当ブログ、「SnapDays」と名乗りながらもスナップらしいスナップはこれまで撮ってきませんでした。
「SnapDays」というからには、やはり街の空気感を切り取る写真にも挑戦したい。そんな思いから、今回は街中を歩いて思いのままにシャッターを切るスナップ的なことに挑戦してみました。
その第一弾となるのが、北九州市小倉北区にある旦過市場です。
旦過市場といえば戦前から続く歴史ある市場。「北九州の台所」とも称され地元の方から愛されている場所です。けれども近年、二度の大きな火災で多くの商店が焼失してしまいました。まだ完全には復興を遂げていませんが、それでも再建へ向けた工事が進み再び活気を取り戻そうとしています。今回のスナップは、そんな「変わりゆく旦過市場」の姿を残す一つの記録にもなるかもしれません。

iPhoneでスナップを試す理由
僕がいつも使っているカメラはSONY α7R Vに24-70mmのレンズ。画質や描写力において文句なしですが、いかんせんスナップでは小回りが利かないし、目立ちすぎるんですよね。「ちょっと街の一角を切り取りたい」という時に、大げさな機材を構えるとどうしても周囲の視線も気になるしシャッターチャンスも逃してしまう。普段街中での撮影に慣れていない人にとってはちょっと恥ずかしいですよね。
▶️街中でカメラを構えることが恥ずかしい原因とその対処法を伝授
かと言ってコンデジは持っていない。…いや、あるじゃないか。iPhoneという最強のスナップカメラが。
ということで、今回はiPhone 16 Pro Maxを片手に「サクッと撮ること」をテーマにスナップしてきました。スナップの雰囲気を感じつつ、同時に「iPhoneでここまで撮れるのか」という視点でも見てもらえたら嬉しいです。

哀愁に満ちた街の空気感をフィルム調の現像で
実は今回のスナップでは、ただ記録として撮るのではなく「旦過市場の哀愁」をどう表現できるかを意識しました。そこで挑戦したのがフィルム調の現像。カラーグレーディングでシャドウに緑やシアンを、ハイライトにはオレンジを加えることで、どこか懐かしさや温かみを感じさせるトーンに仕上げています。また、全体的に気持ち程度のノイズを加えてザラザラ感を出しています。雨に濡れた路地や工事中の風景もこのフィルムライクな雰囲気と相まって「過去と未来が交錯する市場の姿」を写し取ることができた気がします。スナップにおいては撮って出しもアリですが、RAW現像前提ということで今回はApple ProRaw形式で撮影しています。iPhoneで撮ったスナップでも、現像次第でここまで表情が変わるんだというのを見てもらえたら嬉しいです。ちなみにサクッと撮るという今回のスナップのテーマに合わせて、RAW現像もサクッとタブレット版のLightroomで行っています。使用したタブレットはもちろんこのブログでもご紹介したシャオミのRedmi Pad 2です。

まずは曇りの旦過市場周辺を歩く
お散歩スナップのスタートは旦過市場の最寄駅となる北九州市モノレールの旦過駅から。小倉の人々にとってモノレールはとても身近な存在なのです。

この時は平日の昼過ぎでしたが、それもあってか駅にはほぼ人がいませんでした。どことなく物寂しい雰囲気が出ており、それはそれで様になります。

駅を出てから旦過市場へ向かっていきます。旦過市場は旦過駅を出てすぐです。

僕は昔から慣れ親しんでいるモノレールですが、実はモノレールがある都道府県って両手で数えられるくらいにしか存在しないようです。ちなみに小倉駅から旦過駅まではモノレールで2分程度。歩いても10分かからない程度です。

訪れた日はあいにくの曇り模様。しかも現地につく直前までゲリラ的な大雨が降っていた状況でした。
でもスナップにとって雨や曇りはむしろ味方です。濡れた路面に映る灯りや曇りの日特有のどんよりした空気感がその哀愁を増してくれます。普段なら気分が沈むところですた、今回に限ってはむしろ好都合とも言えます。

北九州モノレールの旦過駅を降りて高架橋から下を覗くと、まさに復興に向けて工事が進んでいる風景が広がっていました。

まずは旦過市場の周りをぐるっと一周してみました。普段なら見過ごす景色でも、「今回はスナップ写真を撮る」という目的があるので身の回りに見える全てのものが素敵な被写体へと変貌します。

下の写真右手に見えるのが小倉昭和館という映画館です。今年で創業86周年ともなる大変歴史のある映画館で、主に東映や松竹の映画を多く上映しています。2022年4月の大火事では難を逃れたものの、二度目に起こった8月の大火災では建屋が全焼してしまいました。その後、多くのファンからの北九州市調への署名活動やクラウドファンディングなどもあり、復旧建設工事が行われ、2023年12月に新たな出発として営業を再開しています。

いざ、旦過市場の中へ
さあ、旦過市場の入り口へとやってきました。
どことなくこの中に入ると異世界が広がっていそうな雰囲気がありワクワクします。

平日にも関わらず、市場内はたくさんの買い物客で賑わっていました。

僕は平成生まれですが、この旦過市場に漂う昭和の雰囲気にはどことなく懐かしさも感じます。


「ぬかみそだき(ぬかだき)」は北九州発祥の郷土料理です。イワシやサバなどの青魚を醤油、みりん、砂糖などで炊き込み、最後にぬかみそで煮ることで、青魚特有の臭みがなくなります。小倉では家庭料理として広く親しまれていますが、旦過市場でも名物の一つとなっています。

昭和の雰囲気を残す旦過市場ですが、一歩外に出ると周りには住宅などが立っています。

高い建物に囲まれる形で存在する旦過市場。昔は当たり前だったこの光景も、今の若い人からするとまるで異世界に来たかのような錯覚を覚えるのではないでしょうか。

旦過市場の向かいには、同じく小倉で有名な魚町銀天街があります。今回は時間の都合上で散策はできませんでしたが、次回小倉周辺を散策する際はこの魚町銀天街でもスナップしたいと思います。

旦過市場の裏側。黒く汚れの入った建物の外観がその歴史の長さを物語っています。

スナップは空気感を残す写真
正直に言えば、今回撮った写真は作品と呼べるようなものではありません。でもスナップは「上手い写真」を撮るためだけじゃなく、その瞬間の空気や温度感を残すものだと改めて感じました。
旦過市場の再生途中の姿。
雨に濡れた路地。
工事現場を横目に歩く買い物客。
それらをiPhoneで切り取ることで、「今この時代の旦過市場」を残すことができた気がします。火災からの復興途上でありながらも、人々が日常を営み続けていることが伝わってきます。シャッターを切るたびに、ただの市場以上の「街の記憶」を撮らせてもらっている気がしました。

iPhoneはスナップに最適かもしれない
スナップにおいてiPhoneの手軽さは圧倒的です。シャッターを切るまでの心理的ハードルがとにかく低い。カメラを構えた瞬間に感じる「撮らなきゃいけない感」みたいなプレッシャーがないから街に自然と溶け込めるんですよね。もちろんダイナミックレンジや細部の描写力ではフルサイズに敵いません。けれども「街の空気感を記録する」という目的なら十分すぎるほどの性能。ProRAWで撮ってLightroomで調整すると思った以上にしっかり表現できました。
しかし、「写真を撮る」という行為についてはやはりカメラを持って撮ることには敵いません。IPhoneでもここまで撮れるということを実感した反面、自分はやはりカメラで撮ることが好きなんだと再認識したことも事実です。そうなるとやはりスナップようにコンパクトなカメラが欲しいー(何かの伏線?)
2026年1月4日更新
何かの伏線がついに回収される時が来ました!最強クラスのスナップ用カメラとして富士フイルムのX100VIを購入しました。そのX100VIの開封&外観レビューや購入した詳しい理由、購入までに悩んだことを以下の記事でご紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

変わりゆく旦過市場をこれからも記録したい
旦過市場はこれから数年をかけて、少しずつ新しい姿へと生まれ変わっていくでしょう。
火事の記憶を抱えながらも、商人たちが再び市場を作り上げ、人々が買い物に訪れる――その過程こそが街のストーリーです。今回のスナップはそのほんの一部。でも「記録」として残す意味はきっとあると思っています。
次に訪れる時にはまた少し違う旦過市場がそこにあるはず。その変化をこれからも撮っていけたらいいな、と。

おわりに
スナップの第一弾として旦過市場を訪れましたが、やっぱり街の写真は楽しい。
まだ慣れていないのでぎこちない部分もありますが、日常の断片を切り取ることで「写真ってこんな楽しみ方もあるんだ」と自分でも新鮮に感じました。
また次の街でのスナップも楽しみにしていてください。


